シケイン越え技術の分析
関西シクロクロス第5戦野洲川運動公園のC1の選手たちのシケイン越えを分析してみる。敬称略。
チェックポイントは、自転車を降りてから最初のシケインを跳ぶまで、シケイン間、シケインを越えてから跳び乗るまでに何歩歩いているか。
18時45分追記:「右足が地面についてから左足で跳ねるまでやから合計は偶数になるはずやん」と思って、どっちの足で踏みきるかに注目して歩数を数えなおして、朝のデータを一部修正しました。
中津顕(京都ウィーラープローグ)
3歩、3歩、4歩。
世界選手権代表チームのメカニックも務めたこともある関西クロスきってのメカマニア、というかたぶん日本一のシクロクロスマニア。テクニックの研究にも余念がない。
矢野大介(インディペンデントファブリケーション)
黒いウェア。2歩、2歩、4歩。
ピンクのウェアの早水直樹(NakagawaASKデザイン)の上下動のない、シケインをまたぐような越え方も注目。
竹之内悠(TREK)
3歩、2歩、3歩。
このレースの優勝者。全日本4位、世界選手権代表何度も。
シケイン前を2歩で歩く選手に注目して動画を撮影していて、「竹之内は2歩ちゃうなぁ」と思っていたのだが、プレイバックしてみたら2歩だった。ほかの2歩選手たちとくらべて降りて跳ぶ動作の跳ねが少ないためか、スピードの変化が少ないためか。
足音も小さい。
岡崎和也(梅丹本舗GDR)
最低限のジャンプでふんわりとサドルの上に乗るような、美しい跳び乗り。
まとめると
当然だけど、走る数が少ないほうが足へのダメージが少ないし、乗車時からのスピードも活かせる。タイム差以上に、ダメージが後半効いてくる。特にC1の60分になると。足をついた瞬間「攣ったぁ」と叫ぶ選手も。野洲川のように、ここしか下車ポイントがないと、ここでだけペダリングとは別の筋肉をつかう
シケイン越えの瞬間も跳ばずにまたぐようにすることによって、跳ねる時の疲労、着地する時のダメージ、スピードのロスを防ぐことができる。
自転車の向きにも注目。まっすぐのままでなく、すこし傾ける選手が多い。傾けることによって持ちあげる高さが低くてすむので、上半身の疲労が減り、また持ちあげるのにかかる時間が短くなるためぎりぎりまで乗車していられる。
もちろんシケインに近づく前に右手はすでにトップチューブに添えられて、降りたらすぐに担ぎ上がられるようにしている。
今回の動画ではようわからんけど、どこで右足をはずすかというのも重要。早々とはずすのとぎりぎりまで漕いでいるとのでは数mの差が出る。
降りる時に右足を左ペダルの前に出すというのがシクロクロスでは常識、基本テクニックだったけど、ハイレベルの選手たちはペダルの前に出さないようになっているらしい。確かにヨーロッパのトップ選手たちもほとんどそのまま降りている。降りたあとの走りやすさよりもぎりぎりまで漕ぎ続けることを優先するためじゃないかと推測。
つらつらと書いてきたけど、私が実行できているわけではございませんので、念のため。
特別付録:河童が川に流れた瞬間
ぎりぎりのところを攻めているがゆえのリスクが裏目に出た、名人会ならではの失敗。